【老犬介護の急所】夜泣きを考える
こんにちは、管理人です。
「夜泣き」は人間の生活サイクルにも大きく影響が出ることもあり、対応に苦慮される飼い主も散見されております。今回は掲題にもありますが老犬介護の急所「夜泣き」について経験談を基に対策などのご提案をさせていただきます。
1年半ほど前に「夜泣きの理由がわからない」とツイートされている飼い主さま(ジュンちゃん)がおりまして、以下の返信をしております。
寝たきり犬さんが「くーん、くーん」となく時はおおむね決まっているようで
・寝返り打ちたい
・おなかすいた
・お水下さい
・おトイレでました、したい
・暑いor寒い
・寂しい、不安これらのどれかに当てはまります。
ご参考に記事をご案内しますね。https://t.co/j2y1gcPEX7— 鈴木一労@DMコーギーサイト管理人 (@corgi_dm) May 16, 2020
いろいろあって困る、という飼い主さま。どうか焦らずに時間は限らてれいますが早晩消える灯ではありませんので根気よく向き合ってください。一面的に「これ!」という正解は提示できませんが最大公約数と思しき内容を書き綴ってまいります。
とはいっても対応してくれたのはほとんどが家内なので僕の感覚で書いています。
始まりは突然に
我が家のロンさんの場合では夜泣きが繰り返される時期が始まる予兆というものはあまり感じられませんでした。強いて言うのであれば四肢の麻痺が進行し、自律的な動作が難しくなってきたころからでした。他には認知症など老化の症状として表れることもあるでしょう。始まりの時期と原因が一律でないことがそのまま一面的な答えを出せない元とも言えますね。
ただ、ここはDM対策本部なので、DMに限って対策を書いておきます。
夜泣きの始まりと終末期では対応の優先度が変化してきます。それはコギさんにおいて時間が経つに連れ「慣れていく現象」「増えてくる現象」が変わっていくからだと管理人は考えています。なので、対応策に関して優先度がどのようにロンさんの場合では変遷したかを一緒に付記してまいります。
・おトイレでました、したい(優先度:高→低)
自律的な動きができなくなると当然排泄が困難になります。ロンさんは排泄の多くを屋外で済ませており、急な催しは大小ともにトイレマットで上手にこなす日常でした。それが難しくなりますから本人は困ります。動けなくなって最初に直面する困難となり、コギさんにとっても自尊心が大きく損なわれることもあります。人間であれば「おむつがあるから大丈夫」という理性で処理できる感情がヒト以外の動物では不可能なので「いつもできていたことができなくなってしまった」という気持ちになります。それが夜泣きという現象で現れることになります。老化が進むと食事のタイミングや消化の速度が不定になりえてしまい排泄の時間をコントロールしにくくなることも遠因の一つとして「夜泣き」につながるのだろうと管理人は考えています。
ロンさんの場合はとにかくなだめすかすこと、おむつで排泄することの「恥じらい」を取り除くことで終末期では夜泣きの原因となることが少なくなりました。とにかく「できたこと」を褒めちぎってあげることで「あー、これはやってもいいことなんですねぇ」と納得してくれるので、夜泣きの始まり当初は排泄を要求していないか第一に考慮してみてください。
・寝返り打ちたい(優先度:低→高)
DMは身体の力を奪っていく病です。最初は調子が良ければ自分でできていた寝返りも徐々に難しくなってきます。必然的に「寝返りがうちたいよぅ」という訴えが増えてきます。これはもう人間の手で寝返りをさせてあげるか、寝具を変更する対策が必要になってきます。寝返りの頻度を減らすことができるのはとにかく体圧を分散させる以外にありません。あとはコギさんの性格により頻度も変わってくるでしょう。一言に「寝返り」とはいうものの3時間おき程度に体勢を変える作業を毎日続けるということは、人間を中心とした生活環境だとなかなか難しいのは理解できます。飼い主さまも「必ずやらなくては」と気負うと心の負担になりますので「できる限りの折り合いをつけよう」という感覚で臨むことが大切なのではないでしょうか。
単身もしくは協力が得られない環境でDMを発症されたコギさんを看病されている方は特に「なぜこんなことに」とか「もっとできることがあるのに」と焦りを持たないでください。経済的に余裕があれば訪問型ペットシッターさんや信用できるご近所さんを1回呼ぶだけで寝返りを1回クリアできるわけですから、そういった現代ならではのサービス活用もご検討ください。
・おなかすいた(優先度:低→低)
ロンさんは食いしん坊さんだったので亡くなる直前まで食欲は旺盛にありました。日中に十分な食事と栄養が取れていたので空腹が原因と思える夜泣きは殆どなかったと記憶しています。時におやつを欲したり「食べ物がのどを通る感覚」で安心感を得るということは多少ありました。よってこれはコギさんの個体差とも言えるでしょう。共通項としては人間の就寝前に水分を多少含んだおやつを与えておくことで対策を考慮する優先度を下げることができます。ただ果物は成分の殆どが水分なので、前述の排泄へとつながるためおむつに慣れるまではあまりお勧めしません。人間の睡眠が夜泣きによって妨げられてしまう時間をなるべく減らすための最大の方策は「短い時間で適切な選択」を繰り返すことでしかなしえません。
食べないと元気が出ないんですよ
・暑いor寒い(優先度:中→低)
季節柄どうしても気候の変化、とりわけ暑さへの対策には要注意です。夏場は人間が暑いからと言って冷房をかけすぎるあまりコギさんの体温低下を招いてしまったり気を使いすぎるあまり熱中症になってしまったりと、コギさん得意の冬場は困難が少ないのですが暑いとき対処には配慮を欠かさないでください。特に下腹部を冷やしすぎないよう就寝時でも布を一枚かけるだけで効果がありますのでお勧めします。
なかなか快適ですよ
・お水下さい(優先度:低→高)
これも季節柄ということもありますが、乾燥する時期は特に枕元にお水を多く準備しておきました。水道水だと口をつけない時期が出てきたので100%果汁のリンゴジュースを香りづけに混ぜることで解消できました。自発的に水分補給ができていた時を思い出しながら動けるうちに給水の練習をしておくのも対策の中に入れられます。本来なら「与えすぎに注意!」と書きたいところなのですが、体験者ならではの事象が次節にございます。
・寂しい、不安(優先度:中→激高)
人間はうつ病などダウン系の精神疾患に罹るとにかくのどが渇きます。不安感が止まらなくなるため水を飲むことで本能的にそれを解消しようと心身が水分を要求します。
僕は精神疾患もちで仕事をしていると入社後大体半年後くらいには毎日職場で3リットル以上の水分を消費するようになります。環境に慣れるにつれ期待に応えなくてはと成果を上げ始めると「コイツ使えそうだ」と周囲の評価が不当に高まります。病気を抱えながらこなせる業務量をオーバーするのが大体半年前後になり、積まれる仕事を(当時は)断れず口渇が延々続きます。水筒に入れた麦茶は午前に底をつくのがわかっているので、2リットルの水を出勤時にコンビニなどで購入し冷蔵庫があれば冷やしておきますがその水は冷蔵庫に戻ることなく空になります。程なくして体が動かなくなり退職、というサイクルを恥ずかしながら3つの職場で繰り返しました。
前置きが長くなりました。「そっちの体験者かい!」という突っ込み待ちですが「不安感」というものは当然に心ある生き物であれば現れるものです。それを癒すためにやはり「水分補給」の頻度が上がってきます。自分の体に何が起きているのか理解できなければ尚更不安でしょう。少なくともロンさんの場合、終末期のDM介護において夜泣きへの対策はまずほぼ2つで「寝返り」か「不安」になります。水分を飼い主さまの手で与られる場合は体勢に変化が起きるので2つの問題が一気に解消できます。摂取した水分は排泄となり、すでにおむつには慣れているため「おむつを取り替えてほしい」という候補が次に対処の要求になることがご理解いただけると思います。
夜に限らず時には抱きかかえてあげて声をかけ「いつでもそばにいるよ」という安心感を与えることが大切なのだと実際の介護で感じました。真夜中は身体をさするだけでも効果が高く出ました。
こうすると・・・
こうなります
単身の方であればネットを介して声を伝えることもできるようになりましたし、そういった機能を利用するのも良いのではないでしょうか。
おわりに
繰り返しになりますが、これは管理人が考える最大公約数の提案です。いろいろな方策を考えては試す、ということをコギさんの負担にならない範囲で行うことは大事なことでそこで得た効果をTwitterなどで発信することもできるようになりました。
当サイトのTwitterアーカイブは諸般の理由で一時停止しています(すいません)が、このサイトだけでなく人的交流で得られる知恵や対策法は取り入れてみることをお勧めします。
今年も冬至を過ぎ、暗い時間は徐々に短くなっていきますが老犬介護に盆暮れ正月休みはないのです。でも盆暮れ正月だからこそ人間が触れ合いを多くできる日本では数少ない時間を大事にしてほしい、という意味を込めこの時期にこの記事を書きました。
人間も感情のある生き物ですから夜泣きに悩まされ心身ともに疲れ、夜泣きを疎ましく思うこともあるかもしれません。それでもあとひと踏ん張り、その子に寄り添ってあげてください。間違いなく良い思い出になりますから。
それではまた。
「ペット・ロス座談会」
当サイトでも触れましたクリエイターaskichi(あすきち)さまが大切な子を亡くされた方へ何か手助けがしたいと思い立ち2022年1月15日にオンラインイベント開催することとなっています。
このサイトを運営したり休んだりの中でも確実に症状が進み、多くのコギさんがDMで亡くなられているのを悲しく思います。でもそれは悲しいだけではなく、その子は宝物を遺してくれていますよ、というメッセージを送りたいという意図のイベントでなんと家内が「ロンママ」を名乗りロンさんの思い出を語るために出演します。
当サイトの記事として案内ページと参加の方法も配信していますので是非ご覧ください。
(2021/01/13 追記:上記イベントは諸般の理由により中止となりました、askichiさまの今後のご活躍にご期待ください)