ロンさん、DMステージ4、一葉散ってはまた一葉


 早くこれくださいッ!!

「スイカの日」ということでツイッターにアップさせてもらった写真です。大好物のスイカ、暑い時期には水分補給にも良く代謝を促すので果物をおやつとしてあげていました。四肢が動かないのにこの目ヂカラです。すごい。
そんなこんなで何とか夏、残暑を乗り切り人間にも多少過ごしやすい季節になった頃、ロンさんは首から下はほぼコントロールできなくなっていました。頭をあげることは多少できても、あまり長い時間起きていることもなくなり眠る時間が増え始めていました。
加えて体が不自由になり、思い通りに動けないことからストレスが溜まり怒りっぽくなります。また、長い時間姿勢を変えずにいると床ずれができるので2,3時間おきには体勢を変える必要があります。下地には人間用の低反発マットレスを二つ折りにして、乗せたバスタオルをこまめに変えながら昼間はリビングで介護、ちょっとイラつくとかつての女傑、ロンさんも「クーンクーン」という声を出して体勢の変化を要求してきたりもします。

ここから大変だったことはこの寝返りを定期的に行う作業でした。僕は通勤や仕事の都合上、短時間の睡眠では動けなくなってしまうので、主に家内がこの寝返りを3時間程度おきに毎日夜通し繰り返してくれました。また「クーンクーン」の夜鳴きも多くなり、時には僕もその横でうっすら目が覚めてしまうことがあったりしまして、十分な睡眠が確保できない状況も続きました。
それでも家内が非常に献身的にロンさんに応じてくれ、寝苦しい夜は水をあげたりもしていました。普通の水道水ではあまり飲むつもりになってくれなくなったので、香りづけに100%果汁のリンゴジュースを少量混ぜ、ロンさんが気持ちのよい状態で水分補給できるよう考えたのが大当たりでした。
寝たきり犬さんが「くーん、くーん」となく時はおおむね決まっているようで
 ・寝返り打ちたい
 ・おなかすいた
 ・お水下さい
 ・おトイレでました、したい
 ・暑いor寒い
 ・寂しい、不安

これらのどれかに当てはまりますので消去法にて対処いただくことで解決できることが多いです。


 はー、ご主人がいますねぇ

身体は犬とは思えないほどに脱力し、軟体動物のような感覚になるので抱きかかえるにも慎重さが必要になります。
バーに前足を載せての散歩ですが、こんな感じになります(テスト込みの初動画掲載)。


先般も説明しましたが車椅子の中間にベルトを着け僕らが引っ張り、ロンさんがお外の匂いを堪能するという形です。

気を付けなくてはいけないことがありまして、排泄がコントロールできないため路上におしっこで達筆な「謎の毛筆体」を描いたまま気が付かなかったり、ウンコをしたことに気づけないことがあるということです。
本来であればおしっこができれば水で流し、ウンコは飼い主さんが拾って持ち帰るということができますが、ベルトを引く散歩に苦心するあまり後ろを振り返ることを怠ってしまうと、こういったことの処理を行えないまま散歩を終えることになります。こと、夜間の散歩には注意が必要です。
公共の環境に悪影響なのももちろんですが、排泄を飼い主さんが確認できないと家に戻った時、大丈夫なのか確信が持てないまましばらくの時間を過ごすことになるので判断が難しくなります。

誠にお恥ずかしい話ですが当時僕らはマンションに居住しており、ロンさんの建物内廊下での粗相に気が付けず管理組合の方から近隣の苦情として指摘を受けたということもありました。
共同住宅で車椅子コーギーさんを介護される方はトラブルにならないようご留意いただければと思います。
散歩に帰ってきてもロンさんに疲れの色がなければしばらくは部屋の中を車いすのまま徘徊させ、自分が動けているという気持ちを与えてました。


 ご主人かまってくださいよぅ

秋も深まり紅葉の季節、僕らは休日を利用して少し長めの散歩として毎年見ているモミジの木まで足を運びました。家内も僕も多分ロンさんが写るこの木の写真はこれが最後だろうと思ってのことでした。

 「ロンさん、ありがとうね」


 「僕らがいるからね」

※家内が寄り添う写真ももちろん撮りましたが、ここでは割愛させてくださいませ。

時を追うごとに症状が確実に進む中、ロンさんの吠え声に変化が起こります。多少なりとも犬っぽい声だった鳴き声がかすれ声に変わりました。声帯が震えて出る声ではなく「ぽかっ、ぽかっ」という空気音として聞こえるようになりました。

さらに僕の心身はとうとう極まり、仕事はできるものの早朝の起床や長時間の通勤に耐えられなくなりつつありました。
そこで職場へ自転車で行ける東京の実家(当時空き家)に親戚から一時的に資金を立て替えてもらいリフォームをかけ、そちらへの引っ越しを家内の同意のもと決断します。ロンさんの主治医を変えなくてはならないリスクは多分にありました。ロンさんを引っ越し先で快適に過ごさせられる保証もありません、ただ僕がダメになってしまってはマンションに残ることさえもままならない、ベストではないベターな選択の強制を強いられます。

2016年も残すところ1か月程度、河川敷に吹く風は確か冷たかったのですが僕は正直はっきりとはこの頃を覚えていません。

次回、完結編です。

コーギーさんと健やかに

ロンさん、DMステージ4、一葉散ってはまた一葉” に対して1件のコメントがあります。

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