ロンさん、DM発症ステージ1
「ヘルニアの可能性もありますが…」
獣医さんは気を遣うように見え事実を正面から伝えにくいようでした。
レントゲン写真を前に僕らはとりあえずその日に認識した事実を受け止め家にもどりました。
レントゲン写真にはロンさんの背骨の真ん中あたりの節目付近に少しだけぼやけた、米粒大の影がありました。
摘出は骨髄を取り除く作業になること、遺伝性の病気であり手術は根本的な治療にならないことを教えていただきました。
「ロンさん、ちょっと大変になっちゃったねぇ」
ヒト用の薬の誤嚥、乳腺種、子宮蓄膿症と幾多の命の危機を乗り越えてきたロンさんでも
これは幾ばくか辛い病気になることになってしまいました。
それでもロンさんは僕らの方を向いて楽しそうに歩きます。
相変わらず後ろの右足は不自由で爪先を地面で擦るため爪が削れ出血。
「ナックリング」と呼ぶ症状が確実に見て取れます。
先端の神経が機能せず「拳」の状態のまま歩くため人間でいう指の第2関節付近が汚れるようになります。
犬用靴下をいくつも試すんですが歩くたびにぽんぽん外れてしまうのが
足が短いが故のコーギーさんの足のつらいところ。
日がたつにつれ左足にもナックリングが起き、普通の歩行でもたびたびバランスを崩すようになりました。
家の廊下はフローリングだったので絨毯を敷くなどして滑り止めや後ろ足への負担をとにかく減らす環境づくりを始めました。
後ろ足にご注目ください、先端が伸び切ってしまって動きが悪そうな状態がわかると思います。
それでもまあしばらくは平穏な日々がつづいたものです。
よたつく姿すらかわいく見えたりもするものです。