変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy:DM)は、痛みを伴わず、ゆっくりと進行する脊髄の病気です。
コーギーが日本でメジャーな犬種として認知されて以来、徐々に飼い主様の間で認知が広がっているようですが、まだまだ知られていないことも多くあります。

症状は9-12歳頃から現れ、後ろ足足首から目に見える麻痺が始まります。
片側の後ろ足を擦って歩く、転倒しやすくなる、などの症状がまず認められます。
病気が進行すると両後ろ足の麻痺が徐々に進行し、前足にも麻痺が現れ、自力での歩行ができなくなります。
その後、自分で排泄する事が出来なくなります。
本人は粗相だと思うようで、悲しい表情をすることがあります。
さらに進行すると、自発的な呼吸ができなくなり固形物の摂取など食事が困難になります。
通常、これらの症状は2-3年くらいかけて進行します。
我が家のロンさんは発症から2年半程度で最期の時を迎えています。

明確な医学的定義ではないようですが概ね以下のように分けられるようです。

 

ステージ1 両後肢のふらつきが認められるが、まだ四肢での歩行が可能
ステージ2 両後肢の麻痺が進行し、四肢での歩行が困難。前肢は正常。
ステージ3 前肢にもふらつき、ナックリングが認められるが、まだ歩行可能。
この時期までに多くの場合に自力での排泄も困難になる。遅くともこの時期には下半身の筋肉がひどい萎縮を起こす。
ステージ4 四肢が麻痺してしまい、歩行が不可能。呼吸困難、発声障害、嚥下困難なども起こる。全身に重度の筋萎縮が認められる。本疾患の末期で、生活の質が著しく低下します。

埼玉動物医療センターHPより引用

DMは遺伝子の影響を受けるということが昨今の研究で分かってきたものの、関係する遺伝子を保持しているかを知るには大きな手間と負担を必要とするため、一般におうちで飼われているコーギーさんは「その時」になるまで当該遺伝子を保持していたという事実を知ることができませんでした。
しかし今では技術が発達し遺伝情報から読み取ることも可能になったという情報も手にしました。
また関係遺伝子を保持していたとしても発症しないというケースも存在します。
DMは現状、確たる治療法もなく死に至る病であり、コーギーさんや飼い主様はおろか獣医さんでさえ症状の進行をただ見守るしかない、という悲しい現実があります。


それでもDMコーギーさんとの終末期をできるだけ穏やかに過ごすということに力を尽くすことは可能です。
長い間過ごしてきた愛犬が命を落とす、ということは非常に悲しい現実ではありますが、裏を返せばDMコーギーさんとのお別れを事前に察知でき、これまでのコーギーさんの振る舞いに対して感謝や恩返しをする時間を用意されたとも考えたりはできないでしょうか。
もちろんDMという病が完治可能となることほど喜ばしいことはないのですが、それにはまだ時間が必要そうです。

このサイトはDMコーギーを看取った経験者として、また亡き愛犬への感謝の形として僕がこれから起きるであろう苛烈なDMとの闘いを強いられるコーギーさんとその飼い主様へ「DMに関する知恵」を集め、少しでも安全で穏やかな時を刻んでほしいがために立ち上げたものです。
また、今この瞬間でもDMと闘っているコーギーさんと飼い主様の孤独感や迫りくる最期の日への寂寥感を癒すための場としても活用していただければ幸いです。

また、サイト運営に関して一部広告を挿入させていただいておりますが、運営にかかわる経費を除き収入は極力寄付金(主に岐阜大学)へ回すことを考えており、このサイトを生活の糧とするつもりはありません。
できれば毎年年末に収支を公開できるようにしたいと考えております。

HPも拙くサイト構成もままならない初心者ではありますが、温かく迎えていただけますようお願い申し上げます。

2019年12月4日 記 鈴木一労(すずき いちろう)

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