寝たきり時の「給水」を深堀り

本当であれば暑い夏場に投稿する予定の内容だったのですがサイト不具合の対応に追われてしまいこの時期の投稿になってしまいました。ご容赦ください。


好きなものはすぐに飛びついちゃうんですよ

生きるための大前提「水分」

この地球上に動物として存在するためには欠かせないのが「水分」です。人間でも体内の7割が水分で構成されているということを耳にした方もいらっしゃると思います。そして日本国内では夏場の異常な酷暑を寒い地域のコーギーさんが乗り越えるには常に水分補給が求められます。他方で冬場は乾燥が起きる気候なので結局、季節問わず水分の補給はDMコーギーさんに対して重要な問題になってきます。
寝たきりになってしまうと必然的に自力での水分摂取が不可能となります。また不安からくる口渇も「夜泣き」の原因となる解決法の一つとしてあり「給水」という行為はとても大事な過程であることは飼い主様もしくはこのサイトをよくご覧になられている方であれば納得いただけることかと思われます。

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コーギーさんの行動を観察、試行を

可能であればDMであると発覚する前から、どのような水分補給が可能なのかを想定しておくことをお勧めします。「この子が寝たきりになった時、何をすればお水を飲んでくれるだろう」と観察することで実際に介護状態に入った時の試行ロスを減らすことができます。
大体のご家庭では屋内ではお水の器をそのまま置き、自分で好みの時間で水分をとってもらうという形式が多いと考えています。一方、お散歩時の水分補給を想定したときにそれをそのまま屋内に移行させることはなかなかあてはめづらい部分もあると思います。
そして介護時に大きな障壁にになるのは「飲んでくれない時がありうる」ということなのです。気を揉む飼い主様が給水を試みても口をつけてくれないときが多くあるわけです。その時にどうするのか、その試行のために普段からの観察を行うことに意味があると管理人は考えています。

効果的を思われるものはやはり、好物を見つけるということです。我が家のロンさんはフルーツが、特にリンゴと梨が好物で寝たきりになった後、そのままではお水を飲んでくれなかったときに管理人の発案で100%果汁のジュースを数滴混ぜ香りづけをすることで積極的にお水を飲んでくれるようになったという経験があります。
コーギーさんに限らず犬の嗅覚は人間の数万倍と言われていることはご存じかと思われます。つまり犬さんは「鼻で味わう」という側面のほうが強いのだろうと解釈しても良いくらいではないでしょうか。給水をしやすい「魔法の香水」を編み出しておくことがその後のケアに大きな効果をもたらすことになります。

犬さんの特徴からやはり「好きな香り」を見出すことが給水問題解決の早道であり、そのための観察や試行を行うことが大切と言わざるを得ません。ただ、注意すべきなのはまた自立できる状態のときはごく稀に試すだけで良いということです。あくまで自立できるときは通常のお水で生活してもらうことを基準に事後を想定するというスタンスをお持ちになるとよいでしょう。元気な時期に与えすぎるとそちらばかりを要求してしまうのが生き物の習性ですしね。


お水もおいしい方がいいんですよ

意外と難しい給水の体勢づくり

実際に寝たきりになった場合にはこれまでの知識を総動員した試行錯誤が始まります。

前期:まだ上体が起こせる程度の麻痺
ロンさんの場合は常に水が入った小さな器を傍らに置き、上体が起こせるときまではそこから水分を補給してもらっていました。

いつもお水があって安心なんですよ

ピンクの器がそれになります。
これにお水をやや多めに入れておき、減っていたら新鮮なお水に入れ替えるという毎日を送っていました。麻痺が進行するにつれ徐々に上体のあがりが悪くなりますので、筋力維持の効果を含めてギリギリまでこの状況を引っ張ります。お水が減らなくなった、上体が起こせなくなったという条件がそろった段階で飼い主様からの給水を行う必要が出てまいります。
ロンさんの場合では概ね車椅子が4輪に移行し前脚の動きが悪くなり始めた時が要注意のサインでした。これはDMコーギーさんであれば一般的に当てはまる条件なのではないかと考えています。
上体を起こすのに少し苦労し始めたと感じた場合ににはその時点から次のフェーズをお考え下さい。

後期:既に上体が起こせない程度の麻痺
ロンさんに施した給水の成功例はいくつかあり、

 ・段差を作りその下部に器を置き水分を自発的に給水してもらう
 ・うつぶせのまま軽く人間の手で上体を起こしその隙間に器を差し込んで給水してもらう
 ・人間の手で仰向けにし頭部を下に向けた状態で器を近づけて給水してもらう

3番目は非常に難しく麻痺が進行すると全身が軟体化するので人間の負担が大きくなり、お水をこぼしやすくなります。ただDM末期のコーギーさんはそれでも多分頑張っていい匂いのお水を味わってくれます。
このほかにもいろいろと手立ては考えられますが、個体差もありますのでそこは試行錯誤をなされると良いと思います。ただなるべく身体への負担が少ないものから試すことが良いのではないでしょうか。ベッドとして高反発マットをご利用であれば、そのまま段差を利用して器のあるところまで一時的に運んであげるというのも一つの方策でしょう。
ロンさんの場合は舌がどの位置にあっても給水できるよう大きめの器へと変更したりもしています。

疲れたので一休みなんですよ

夜泣きの解消のために飼い主様とのボディタッチで安心感を与えるために敢えて仰向けにするというのも有効な手段ではありますので、必要性を感じたら飼い主様ご自身でトレーニングをなさってはいかがでしょうか。
また車いすでのお散歩時に給水が可能であればできるだけ多くのタイミングで行ってあげることで屋内での飼い主様の負担を減らすことができます。車いすに乗っている状態であればコーギーさんにとっては自然な体勢であり、給水そのものも自然な気持ちで行えることも多くあります。この時期になるとほとんど飼い主様がカートとして引っ張る散歩という形式がほとんどでしょうから「魔法の香水」と給水のための器を携行することで、外出時の給水に強い興味をもってくれる可能性が出てきます。

お外のお水もおいしいんですよ

「魔法の香水」のつくりかた

ロンさんは果物が非常に好きでスイカやみかんやいちご、柿など犬に与えてよいものは全部と言っていいくらい食べてくれました。他のコーギーさんであれば「肉の風味がする水」でもお食事感覚で飲んでくれる可能性だってあります。なので、候補は多種多様に存在しそれを効果的に絞り込むために平時での観察が大切という結びつけが成り立ちます。
肉の風味をつけるためあらかじめ肉風味のおやつをしばらく漬け込んだお水をつくってみたり、お水を飲んだご褒美におやつをあげてみたりとやり方はたくさんあります。人間の常識にとらわれず、むしろこれまで通りの生活の延長線上にあるかのような「給水」方法を考えることが問題解決の早道とも言えるでしょう。

おわりに

多分これはコーギーさんに限らず多くの犬さんにも当てはめることができるでしょうから、できれば犬さんをお飼いの方の多くに読んでいただきたいと考えています。もし周囲に老犬介護でお困りの飼い主様がいらっしゃいましたらこのページを見せるでもなく一つのアドバイスとしてご提供いただければ幸いです。
繰り返しになりますが動物が生きる中で多寡はあれど「給水」は絶対に必要な行動です。もしそこで人の手が貸せるのであれば差し伸べて永らえさせることも大切な人としての役割なのだろうと管理人は常々思っています。

コーギーさんと健やかに

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