コーギー介護の床ずれ(褥瘡)問題を考える
こんにちは、管理人です。
タイトルにある床ずれの別名は「じょくそう」と読むそうです。以降、難しいので「床ずれ」で統一します。
我が家のロンさんもDM介護後期には寝たきりになり、床ずれとの闘いも当然ありました。
今回はこの経験談やTwitterなどネットで散見される床ずれの記述などから管理人独自の防止策や治療のノウハウをご提案させていただきます。介護時の一助となれば幸いです。
床ずれにはサインがある時も
コギさんは完全に寝たきりになってしまうと人間の手でしか動くことができなくなるため、むしろ前足に力が残る4輪車いす移行直後が床ずれを起こしやすくなるように思えます。
4輪車いすに移行したということは下半身はほぼ力が入っていない状態へと移行していると言え、コギさん本人は「まだ動けるかも?」と上半身はがんばってしまいます。床ずれの発生原理から考えると「寝たきりの状態だけど力は入ってしまう」状態がまず第一に危惧するタイミングではないでしょうか。
床ずれの起きる場所はコギさんの環境、気に入る体勢などでまちまちですが、やはり必ずケアしたいのは両前足の人間でいう肘の部分。多くのコギさんが肘に床ずれができてしまったというお話を見ます。仮に寝たきりになってしまった場合、毎日の介護の中でしばらくすると肘の部分の毛が人間の「つむじ」や「寝ぐせ」に似た状態になることがあります。黄色信号のサインです。体躯の支点が集中してしまっている疑いがあります。これに気付けないと(もしくは飼い主さまが介護に慣れていないなどで)床ずれの発症へつながるケースが多いです。自立できないまでの力は入ってしまう状態こそが圧迫感を余計に生み出し危険性を高めます。体勢を変える頻度を増やす、敷物を変えるなどの対策をお勧めします。
参考までに、ロンさんがこんな感じで過ごすようになった頃、床ずれを生んでしまいました。
今日は少し暖かいんですよ
後足は機能していないため筋肉は萎縮して、すでに爪先は小さくなってしまいます。
ロンさん闘病記の中でも床ずれ発症とその後の大変さを綴っていますが、ヒトで行う介護でさえも治療が難しく、慢性化(難治化)してしまう過程で傷が元になる感染症リスクも高まりますので、やはり「発症させない」策を講じることが快適な生活の糸口になるでしょう。寝たきりの人とは会話で通じることもありますが犬さんはそういうわけにもいかないので、やりすぎなくらいの策を講じてから余計なものを徐々に取り除いていく方法がベターなのではないかと経験から振り返って感じます。
それでも床ずれができてしまったら
当然ですが、まずはかかりつけの獣医師さまに診察をしてもらい適切な処置をしていただいてください。最近の獣医師さまはシニア犬を多く診られていると思われ、外科的な介護時のアドバイスを端的に聞くのも良いのではないでしょうか。
また、塗り薬を処方されることも。ただこの消毒や塗布の作業はめちゃくちゃ沁みるようなので、心を鬼にして暴れさせないようご注意を。手を噛まれたり痛みから夜鳴きが増えたりし、飼い主さまご自身にも心身の負担がかかり始めますので、気持ちを落とさず一家一丸で治療をなさってください。また、老化が進み自然治癒力、免疫力も落ちているはずです。若いころのようにすぐに治らないと焦らず、重症化を防ぎ合併症を起こさないために衛生管理をできる限り行うべきだと経験から学びましたので管理人からここでお伝えいたします。
同じタイミングで同じ悩みを抱える人はきっといるでしょうから、情報交換などの人的交流を図るのも気持ちが切り替わります。ネットで情報、同志を集めるのもよいのですが、近年のネット環境は真偽不明だったり利益誘導的な記述が多く流布されており、逆に心を痛める文章に出くわすこともあるのでリスクを承知で活用してください(このサイトが他人のことを言えるかという話も少々アリ)。
床ずれを防げなかったロンさんですが(ごめんね)、車いす歩行時でも前足が爪先だけでなく接地面が広くなっているのがお分かりいただけるでしょうか。この時はもう床ずれが両足にできてしまい包帯を巻いています。傷が痛むのもあるのでしょうが自立する力はなくなりかけています。傷舐め防止でカラーをネットで購入したのですがこの写真のタイプはロンさんには合わず、最終的にはかかりつけの病院へ寄贈。5000円以上したコレではなく人間用ネックピローが安価で軽くフィットしました。ただよだれを吸ってしまうので複数個用意して随時清潔なものを装着すると良いですね。
なんだか首が重たいんですよ、これ嫌いー
ネックピローへ変更後のお姿。
これなら軽くてまあまあなんですよ
こういった肘に負荷がかかりやすく見える体勢を長く続けると床ずれを起こしやすくなるため、コギさんが嫌がらない程度で寝ているところを起こしたりするのではなく、なるべく精神的な負荷のかからないような介護をなさってください(これが難しいんですが)。
ZZZZZZzzzzzzzzzなんですよ
とはいえ人間もまとまった睡眠時間が取れないと疲弊してしまいます。でも体勢は数時間おきに変えたい。このジレンマが非常に厄介!
飼い主さまのご家族ごとで事情は異なるでしょうから。一様な解決策は関係する方々で模索していただく他はないと考えています。最大公約数で言えば協力してもらえる人に限りなく甘えてしまう、という点でしょう。それでコギさんが快適な毎日を長く送れるなら、いいじゃないですか。そのお礼はあとでもできます。犬さんより人の方が長く生きられることを最大限活用しませんか。
コギさんそれぞれの特徴を生かした環境づくりを
長年連れ添ったコギさんなら、思考や志向、嗜好を一番わかっているのは飼い主さまご自身ではないでしょうか。成犬から迎え入れた場合でさえコギさんの特徴を知るには十分な思い出があると思います。そのアルバムを今一度、記憶や記録の中から呼び出して最善とは言わないまでもより良い環境を考えるのは、終生飼養の観点からも大切なことだと僕は考えています。ただ気持ちが落ちてしまうことも心を持つ生き物なら仕方のない話です。(現在は)不治の病と闘うヒトではない生き物にどう接して過ごすかという「ハードル」がとてつもなく長く感じ、疎ましく思うことさえあるのも理解できます(僕にもそんな時期がありましたから)。
関連記事:DM介護におけるダメな飼い主の例
僕を悪い手本として後悔の少ない、それでいてコギさんとその周囲の方にとって快適な介護生活が長く続けば管理者冥利に尽きるというものです。
(以下追記:2021/11/08)
それでも床ずれができてしまったら
経験談から申し上げますと、一刻でも早く傷を治すことに注力することをお勧めします。感染症や合併症のリスクは床ずれが長引くほど高まってきます。「床ずれは万病の元」と言っても過言ではないでしょう。DMを発症する頃にあたるシニア期のコギさんは全盛期に比べ抵抗力や自然治癒力が低下していると考えられます。我が家のロンさんも傷の治りに時間を要し、大きなストレス要因になりました。
かかりつけの獣医さんの当時のアドバイスでは傷の周囲にある毛を短くし、人間が使用する即治療用絆創膏(キズパワーパッド)を適度な形にカットし貼るというものでした。ロンさんにはこれが奏功し、一気に回復できました。
ふつうサイズ | 大きめサイズ | スポットタイプ(おすすめ) |
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ただコギさんの舌が届く範囲ですと当然になめとってしまったり、剝がれる過程で異物として飲み込んでしまうリスクがあります。そこで我が家では赤ちゃん用靴下を100円ショップで買い求め、つま先部分をカットしてしまい肘に通すとぴったりフィット(起きているとき限定)。安定して絆創膏の効果を得るためには傷口を保護するサポーター的用具は必須ではないでしょうか。
最近では「湿潤療法」という治療法が存在し動物医療にも適用するケースが増えていると知りました。管理人の認識では「湿潤療法」は「傷をきれいに治すためのもの」という認識だったんですが、飼い主さまの間では結構に活用される方が多いようですね。
飼い主さまの元では傷を保護するためにワセリンなど保湿に役立つクリームを塗り、それをサランラップ等のビニール素材でラッピングすることで自然治癒力での回復を最大限に引き出す治療法なんですね。
少し調べて図解付きで分かりやすい解説が書かれたサイトをご紹介いたしますので参考になさってください。
犬の褥瘡(床ずれ)に最適な湿潤療法は✕ラップ使用 ◯簡単パッドを自作(外部サイトへ移動します)
よくよく調べてみると前述の「キズパワーパッド」療法も広義の湿潤療法にあたる旨の獣医師さまのブログを拝見することがあり、環境や傷の深度、季節やDMの状況など様々な状況を勘案しないと一概に「この治療法が一番!」とは言えないようで、ここもやはりかかりつけの獣医師さまにアドバイスを頂くのが最善と考えます。
(追記おわり)
おまけ
補足情報になりますが、カラーについて少し触れました。エリザベスカラーといえばその名の通りメガホン型が良く知られていますが、視界か遮られるのをストレスに思う犬さんもいらっしゃるかと思います。Amazonからの商品リンクを作りましたので、ご参考になさってください。
また介護の中でどうしても家を空けなければならない、という方にはありがたいことにペットシッターサービスも最近は出始めています。家計の事情が許せば、検討の余地もあるのではないかと思い、一例を掲載させていただきます。
なお、このサイトで得られた報酬はサーバ維持費などの経費を除き、神志那弘明准教授を中心としたDM研究機関「岐阜大学動物病院神経科」へ全額寄付させていただきます。また「管理人」と「僕」は異なる意味合いの一人称であることも補足しておきます。
現在報酬等が経費を上回っていないため貢献できておりませんが(無能)、どこかのタイミングでこの報酬とは別に個人的に少額ですが寄付を行います。その際には手順等も記事にします。節税対策として確定申告が近くなったあたりがいいかなぁ。
コーギー万歳なんですよ
その際にはまたアナウンスしますのでお越しください。また次回。
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